グレイン|東京国際映画祭

© KAPLAN FILM / HEIMATFILM / SOPHIE DULAC PRODUCTIONS / THE CHIMNEY POT / GALATA FILM / TRT / ZDF / ARTE FRANCE CINEMA 2017


グレイン
Grain [ Buğday ]
監督:セミフ・カプランオール

 いつとも知れない近未来。種子遺伝学者であるエロールは、移民の侵入を防ぐ磁気壁が囲む都市に暮らしている。その都市の農地が原因不明の遺伝子不全に見舞われ、エロールは同僚研究者アクマンの噂を耳にする。アクマンは遺伝子改良に関する重要な論文を書いていたが、失踪していた。エロールはアクマンを探すに出る…。

セミフ・カプランオール監督はベルリン映画祭グランプリ受賞歴があり、現在のトルコを代表する監督のひとり。前作までのいわゆる「ユスフ3部作」は陽光眩い自然美に満ちていたが、7年振りの新作は一転してダークなディストピアを描く近未来SFとなった。しかし映像美はむしろ研ぎ澄まされ、シャープなモノクロ映像が人類居住区域のリアルな混乱と居住不能地域の不毛な美しさのコントラストを際立たせている。監督の母国トルコがシリア難民で溢れたように、作品の構想中に現実世界は激動し、その事象が映画に反映されていった。人類を救う特殊な麦の粒を探し求める旅は、難民問題やエコロジーというマクロな事象を経て、次第に人間心理を司る宗教や信念やエゴイズムといった内面の旅へと至るだろう。主演は、『惑星ソラリス』や『2001年宇宙の旅』の系譜に連なる、知能中枢を刺激される系SF大作である。主演は『グラン・ブルー』のジャン=マルク・バール。グランブルーでは、ジャックマイヨールを演じた。

大気汚染されてしまった近未来を舞台にした主人公の原因探求の旅とゆうストーリー。
遺伝子差別が荒野と街を隔てる壁で仕切られている。よくあるストーリー。
映像はモノトーンで、淡々と主人公を中心に展開していく。アクションやバイオレンスはない。
主人公と共に人生をゆっくり探求してみるキッカケを与えてくれる作品である。