地球はお祭り

(c)大田原愚豚舎
作品解説
北関東郊外の小さな町。電子機器を扱う小さな町工場で働く本田光は、愛犬のリンゴと穏やかな生活を送っている。ある日、本田は同僚のビートルズマニア・平山隆文とともに、東京ドームで開催されるポール・マッカートニーの来日コンサートへ行くことになるのだが…。第29回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門において『プールサイドマン』が作品賞を受賞。その後もカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭など世界各地の映画祭で絶賛され、今や世界が最も注目する日本映画の作り手にまで成長した渡辺紘文・雄司兄弟最新作。ふたりのビートルズマニアの静かな生活と奇妙な路を通し、生きることのおかしさ、悲しさ、騒がしさを描いた珠玉のロードムービー。
淡々と同じ生活パターンの繰り返しとビートルズマニアの自分勝手なお喋りに付き合わされる主人公の映像を何度も繰り返し見せられて、徐々に主人公に感情移入させられるストレスの溜まる斬新な演出だ。
ニュースでは、世界の紛争など語られるものの主人公は、黙々とルーチンな生活を送るギャップは、今の平和ボケした日本の現実を上手く表現している。
話の中に出てくる70分の苦痛を疑似体験させてくれるブラックユーモアも盛り込まれている。ビートルズに社会風刺、映画の世界への没入感(流行りのVRか?)を体感できる作品だ。