ナポリ、輝きの陰で|東京国際映画祭

治安の悪さで揺れるナポリ。ぬいぐるみの露天商で家族を養う男は、娘の歌の才能に希望を見出し、歌手として売り出そうと懸命になるが…。

本作の舞台となるナポリ近郊に横たわる地域を監督たちは「クレーター」(原題)と呼び、ナポリの光に隠れる形で、なかば独立し隔絶された場所として描いている。本作はこの低所得者層の地域に生きる人々に密着した物語である。この閉じた空間から出ていくにはどうするのか。そこから娘を利用する父のストーリーが誕生していった。監督たちは取材の過程で地域に暮らすロザリオとその一家に出会い、彼を脚本執筆に参加させている。この作品はロザリオと娘のシャロンの実際の日々の姿であり、彼らが地域を象徴するような人物に扮したフィクションでもある。そして住人が感じている閉塞感を強調するために、カメラは人物に極端に接近し、彼らを周囲から浮かび上がらせていく。ドキュメンタリー出身監督ならではの手法を存分に生かし、驚くべきリアリズムで父の思いを活写する迫真のドラマである。

(c)Tfilm 2017


娘の才能に目をつけ、売り出そうとするものの、娘の反抗期による衝突で思うように進まない父親の視点をリアルに再現している。低所得者層の暮らしという触れ込みの割には大家族で広い中庭もあり、PC、壁掛けテレビ、スマホ、監視カメラなどなどそんなに切羽詰まった暮らしとはいいがたい。もう少しナポリの街並みや兄弟姉妹、母親との関係性も表現してほしかった。後半ぐだぐだかな。。